「やっと来たか・・・。遅かったな。」
雪をかぶり、バンダナを巻いた男が入ってきた。年はティナより上のようだが・・・。

さすらいの旅人
古代の秘宝を求めて世界をまたにかける
トレジャーハンター
ロック・コール・・・。



「ところで、ドロボウからは足を洗ったのか?」
ロックは笑いながら答える。
「ど・ろ・ぼ・う?俺をよぶなら、トレジャーハンターといってくれ!」
「ハッハッハッ・・・どちらも同じようなものだろう?」
「ちっちっ!大違いだぜ!!」


「ところで、この俺をよびだしたのは?」
微笑んだロックの顔から、白い歯が覗く。
「フム。実は例の娘に会った。」
老人は話題を変えて、深刻な顔をする。
「!?魔導の力を持った娘のことか?」
ロックは驚いて、ナイフを落としそうになった。
「今はこの都市のガード達に追われている・・・。この都市には、  帝国に立ち向かうだけの力がある。だが、その自治力の高さゆえに我々の  地下組織リターナにも加わろうとしない・・・。  ティナが帝国に、操られているだけだというのに・・・わしの意見も聞こうとしない。」
魔道の力を狙う、帝国に反対して、かつての魔対戦を恐れた者達が結成した
地下組織、リターナ。本部はナルシェと離れているのだが、ロックも老人も加盟している。
そこで、ティナに協力してもらう。ということなのだが・・・。


「ティナ?」
「ああ。かわいい娘じゃよ。・・・・ロック、手は出すなよ。」
老人は、ロックをにらんだ。
「そんなに、心配するなって・・・。じゃあ、まずティナを助ければいいんだな?」
「フム。ひとまずはフィガロ国王のもとへ。」
ロックは頷くと、バンダナを巻きなおした。
「そのくせ・・・。ティナと似ておる。」
「は?何が?」
「早く行ってやれ・・・。」
ロックは静かに扉を閉めた。






ロックが走って炭鉱に向かう途中、ナルシェのガード達に何度か出会った。
どのガードも、白い服を着ているのでわかりにくい。
雪はやむ気配もなく降り続ける。もう、靴が埋まる高さだった。



「さてと・・・。この穴だな。」
ロックは炭鉱の中に入っていく。ロックは、ティナとは違い魔物には慣れている。
だから、襲われても慌てなかった。
「・・・ここか?」
少し進んだところで、ロックはティナが落ちた穴を見つけた。
覗き込むと、深緑の髪の少女が横たわっていた。
「ティナ?!」
ロックは急いで降りていった。トレジャーハンターだけあって、怪我はしない。
ティナは、ぐったりと倒れていて、意識がなかった。
「大丈夫か?しっかりしろ!!」
強く声をかけるが反応はない。
その時、炭鉱の中でガード達の足音が聞こえた。
「おいおい・・・。総出でお出向かいか・・・。」
ティナを抱きかかえ、岩陰に寝かせる。



ガード達はかなりの数のようだ。とても、ロック一人では、倒せない。
「俺一人じゃ・・・。」
「クポー。」
ロックがうろたえていると、小さく、何かの泣き声が聞こえてきた。
「・・・なんだ?」
「クポ・・・クッポ〜!!」
泣き声はだんだん大きさを増し、足音も聞こえてくる。



「クポ〜〜〜!!」
すると、ロックの目の前に白い動物が現れた。
動物はモーグリーといって、このナルシェの炭鉱だけに住む貴重な動物だ。
ふかふかな毛。ピンクの羽。くるくると巻いたシッポ。見た目はとても可愛いのだが、 戦闘に入ると、得意の踊りで敵を一撃で倒すことができるモーグリー。

ロックが驚いて口を開けていると、先頭のモーグリーが話しかけてきた。
「ぼくたちも・・・手伝うクポー!!」
「しゃっ・・・しゃべった?!」
「事情は後で。早く、分かれるクポ。」
ロックはちゃんと、状況が呑み込めていなかったがガード達が近づいていたので モーグリー達の言うとおりにした。



ロックとモーグリーは三つに分かれた。
「いたぞ!!ここだ!!」
数多くのガードと、狼がティナをめがけて突進してくる。
しかし、このフロアは岩がたくさん置いてあり、簡単には近づけない。
「行くぞーーーっ!!」
ロックとモーグリー達が反撃する。
モーグリーはスピア(槍)や得意の踊りでガード達を蹴散らし、 ロックは愛用しているダガーで攻撃をしていった。
冷たい炭鉱に、叫び声やうめき声が響く。

しかし、数が違いすぎる。ロック達は十二。ガード達は五十を超す。
時間が経つに連れ、仲間達は次々に倒れていった。
アイテムも底をつき、ついにロックと先頭のモーグリーだけになってしまった。
「・・・ポォ・・・。」
だが、ここまで来て引き返す訳がない。
ロックは自分を落ち着かせた。

落ち着け・・・。大丈夫だ。あと、こいつだけを倒せば終わる。
それに、俺一人じゃない。
ロックとモーグリーの目の前にはガードの指導者。つまり、ガードリーダーが 立ちはだかっている。

「おい、モーグリー・・・。大丈夫か。」
「ポー・・・。」
モーグリーは弱々しく声をあげる。
ロックも血で染まった脇腹をおさえた。
二人は必死で反撃を繰り返すが、やはり無謀すぎた。
「くっ・・・。このままじゃ・・・っ。」
ガードリーダーは斧を振りかざした。ロックがめをつぶった瞬間、辺りの背景が変わった。
「ク〜ポォ〜!!」
モーグリーが軽快な足取りで、妙なステップを始めた。
「ポポロ?ポポポ。」
すると、ガードリーダーの真下に大きな穴が口を開ける。
「え?」
ロックは何が起こったのか理解できなかった。だが、気がついたときには、もう ガードリーダーの姿はなかった。


「どうなっているんだ?」
戦が終わり、静まり返った洞窟にロックの声が響く。
「クポ!」
隣ではモーグリーが得意そうに、胸を張っている。
ロックはモーグリーに笑いかけ、頭をなでてやった。
「お前・・・すごいな。」
「当然クポ!」
「しゃべれるのか??」
「話をしている場合ではないでクポ。また、いつ追手がやってくるかわからない。
 早く、女の子を外に!」
ロックは少し戸惑った様子を見せたが、すぐにティナに駆け寄った。
「ティナ?大丈夫か?」
反応がない。すぐにロックはティナを背負い、自分のベストをかけてやった。
白い肌に、深緑の髪。柔らかな少女の感触がロックの背に伝わる。

「モーグリー。恩に着るぜ!」
「クポー!」
小さな手と握手して、ロックは早足で出口に向かう。
途中何度も魔物に出会った。ロックは片足で蹴り飛ばし、もう片方で踏み潰した。
その度にティナが、ロックの背から落ちそうになる。



「・・・・・え?」
ようやく出口というところで、ティナは目を覚ました。
「お!」
ロックがティナを降ろした。
「・・・・・あなた、だ・・・。」
「え?」
白い息が広がる。ロックもティナも疲れていた。だから早く休みたかったのだ。
「・・・。」
「俺は、ロック。」
「ロック?」
寒さのせいなのか、ティナの頬は赤くなっていた。
ロックを見上げたティナの目。水晶のようで澄んでいる。
「君は・・・。ティナだろ?」
「多分・・・ね。」
「多分とは?」
「・・・・・・・・。」
辺りが静けさに包まれる。ロックは、ふと聞いてはいけないことだったのかと 後悔した。
「ごめ・・」
「記憶がないの。」
「!!」


記憶がない。それはロックが長い間封じてきた言葉だった。
記憶、記憶・・。頭の中で繰り返されていく。
「・・・・・。」
一瞬、言葉につまった。一人の女性のことを思い出していたのだ。
何年も前。トレジャーハンターさえやめてしまおうと思った日。
彼にも辛い過去があったのだ。

目の前のティナがいとおしく感じられた。
「記憶をなくした・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「大丈夫!俺が・・・俺が守るから!」
ティナの肩を強く揺する。
ロックは勢いよく立ち上がり、壁にあるスイッチを探す。
「・・・どうして?どうして私を・・・。」
「・・・・。行こう。」
大きな音をたてて開いた扉の向こうに、冷たい風が吹き付けている。

ロックは優しく手を差し延べるとティナはゆっくりと立ち上がった。
二人の手に暖かさが伝わる。二人は、新しい世界に歩みだした。













書いちゃいましたね・・・。第3段・・。だんだん話しが違う方向にずれてきていることに
お気づきでしょうか?(笑)他のサイト様の素敵な小説を拝見させて頂くと
あることに気づいたのです!!それは!うちのサイトにはキャラ視点がなぁい!!
これじゃ、話がつまんなくなる訳だ。・・・という訳で、今度はFF7で実行したいと思います。
しかし・・・長いなぁ・・・。FF6.いくつになったら終わるんだろうか・・・。















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