魔導士







「あれがナルシェなのか・・・。」
「千年前、魔対戦で焼き払われた都市らしい・・・。」


刃のように、何もかも切り裂いてしまう風。
この日も、次の日もやむことのない雪。
炭鉱都市、ナルシェは全て大切なものを失っていた。


「また、ガセじゃねぇのか?」
この兵士がいうガセというのは、噂のことである。




魔法。
それは、太古から幻獣という生き物だけが使える、特別な力。
人はそれを、羨み、欲し、幻獣といくつもの戦を繰り広げてきた。



魔対戦。
千年前の出来事。人は戦を広げ、幻獣をとらえた。
そして・・・。魔法はこの世から消え去った。



現在。
まだ、魔法は残っていた。幻獣は消滅していなかった。
そんな噂が飛び交い、帝国・・・魔法を狙うものは兵士を送りつけた。



「ああ・・・。俺達も何回、地方に回されたかわからない。だがな、ウェッジ、
 今回は、例の娘の使用許可がでているくらいだ。かなり確かな、情報なのだろう。」
「例の娘?」
ウェッジとよばれた兵士は、不思議そうに聞き返した。
「なにしろ、帝国兵を三分で五十人倒したとか・・・。」
ウェッジは青い顔をして身震いする。彼のヘルメットから、恐怖におびえた目がみえる。
帝国兵は、厳しい訓練をした者がなるものなのだ。
普通、少女一人で五十人なんて・・・とても無理な話であった。

「恐ろしい・・・。だが、この頭の飾りを付けていれば俺達の言うことを  聞くのだろう?」
「そう。そうだ。大丈夫・・・。まぁ、ケフカが作ったものだからな。そのうち故障して
 攻撃してくるかもしれないぞ。」
笑いが混じった声だった。これから重要な任務があるのだ。少し緊張がゆるむ。
「東から回り込む。いくぞ!」




炭鉱都市ナルシェの奥の洞窟に、幻獣の氷づけがあると聞き魔法を狙う帝国は
早速兵士を送りこんだ。この兵士達は魔道アーマーといわれる機械に乗り、
一人の少女を連れていた。この少女は、特別な力があるといわれて帝国が送ったのだ。
 少女の髪は深い緑で、目がどこか一点を見つめている。
きわめて普通ではないようだった。そして頭に何かをはめている。




「この娘を先頭にして、突っ込むぞ。ビックス、雑魚にはかまうな。」
ナルシェの町は扉が全て閉められていて、人がいる様子はなく とてつもなく淋しい所であった。
帝国軍の魔導アーマーは最新の技術を用いて開発されたもので、少女だけ使える技も あるのだが、ほとんどのアーマーは回復力・攻撃力を充分に備えられている。
確かに、人が乗れるサイズだが、やはり町の中を歩かれて良い気持ちのするものではない。




奥まで進むと白い雪と共に、ナルシェのガード達が現れた。
「帝国の魔導アーマー!?とうとうこのナルシェにまで・・・。」
背の高いガードが甲高い声をあげた。ガード達の目が引きあがる。
「ナルシェは、俺達ガードが守る!」
「よし!はさみうちだ。炭鉱の守りを固めろ!!」
辺りに、ガード達の叫び声が響きわたる。響いて、響いて、どこまでものびていく。




「おい!雑魚には、かまうなと言っただろう・・・。しょうがないな。」
ウェッジは少女に、魔導ミサイルの合図をした。
少女は瞬き一つせず、何発もの赤いミサイルを放つ。
ズォーーーーン
耳が壊れんばかりの、大きな音が辺りを包む。
何人もいたガード達は、跡形もなく消えてしまった。
「・・・・・。やっぱり、こいつ人間じゃねぇよ・・・。普通、だれかを殺したら
 目を細めるぐらい、したって・・・。」
「ビックス!!」
ビックスの言葉を止めるように、ウェッジが叫ぶ。
「・・・やめておけ・・・・・。ここで、聞かれたら大変なことになる。」
「・・・・・」




白い雪と黒い空。対照的な景色の中、少女達はアーマーで先に進む。
「情報によれば、新たに掘った炭鉱から氷漬けの幻獣がでてきたらしい。」
「幻獣か・・・。」
もう、千年前の魔対戦でほとんどが滅んだといわれていた幻獣。
暮らしが豊かになった今でも、人間が魔法を狙う心は変わらないのだ。
その中心となった、帝国が幻獣を放っておくハズがない。




しばらく、歩いて行くと、ようやく炭鉱の入り口が見えてきた。
「はぁ・・・遠かったな。」
ビックスがため息をつく。白い息が、雪となって消えてゆく。


ところが、ビックスが炭鉱に足を踏み入れた瞬間、ナルシェのガードが立ちふさがる。
「幻獣は渡さん!・・・いでよ、ユミール!!」
「ユミール?」
ガードの背後から、のっそり出てきた怪物はカタツムリの様だった。
紫色のカラ、黄色い角。辺りの魔物とはケタ違な大きさだ。
「まてよ・・・?こいつは・・・思い出したぜ。」
「知っているのか?」
ビックスは、舌打ちをした。
「以前、雷を喰うバケモノの話を聞いたことがある・・・。カラに強力な電流をたくわえているらしい。
いいか?ウェッジ、カラには手を出すなよ。雷がドカン!で即死だからな・・・。」



「危ない!!」
薄暗い炭鉱に、叫び声が響きわたる。 ビックスがビームで反撃をするが、ユミールはカラの中に入ってしまう。 「おい、どうするんだ?」 何回も何回も、繰り返しているうちに焦りが増す。



「いいか?どうせ、一発一発撃ったって、入っちまうだけだ。三人で同時に撃つぞ。
 あいつには、俺が合図をする。」
どのくらい待ったか、わからないがユミールはのっそりと殻からでてきた。
「せーのっ!」
ズォォォォ・・・・




ミサイルはユミールの頭に命中した。
パリパリと雷を放ち、ナルシェの最終兵器ユミールも姿を消した。
「・・・・。」
「さぁ、行くぞ。」


三人は少女を先頭にして、炭鉱の中に入っていった。
「しかし・・・。寒いな。」
炭鉱の中は外より気温が低かった。
自分たちが氷漬けになっても、おかしくない状態だ。
辺りでは、小さな魔物が気持ち悪く、動いている。
しかし、ビックスもウェッジも見向きもせずに、進んでいく。



「一体、どこだ?どこにある?」
もう、かなり奥まで来ているのに、幻獣は見当たらなかった。

「・・・・・・・・・・・いる。」
少女の小さな言葉に、二人は気付かなかった。




「おぉ〜い!!これだ!これだろう?」
一足先に、幻獣を見つけたのはビックスだった。


氷漬けの幻獣は、今にも動き出しそうな迫力で、魔導アーマーの三倍の大きさはあった。
幻獣は、炭鉱の石段の上に置いてありナルシェを象徴するものだった。
かつての魔対戦で氷にされた幻獣。ビックスもウェッジも驚きを隠せないようだ。

「ほぉ・・・。これが、幻獣・・・。それにしても、これは鳥?竜?」
ウェッジが幻獣に触れようとした瞬間、ウェッジは青い光に包まれた。
「なっ・・・なんだ!?・・・・かっ・・・からだが!!
 うわわわぁぁ・・・・」
光と共に、ウェッジはアーマーごと消えてしまった。
「ウェッジ??どこに、消えてしまったんだ?」
ビックスが幻獣の傍へ駆け寄る。しかし、ビックスも同じく、青い光に包まれた。
「一体・・・。どうなっているんだ・・・?うわぁぁ・・・!!」


幻獣は怪しげな光を放ちはじめた。
「・・・・ ・・・・ ・・・・」
幻獣と少女は、光を帯びてゆっくりと近づいていく。
「・・・い・・る・・・こ・・こ・・・。」
小さく、消えそうな声で呟く少女の声は羽音の様だった。
幻獣も少女も、だんだん光が強くなり、辺りは昼間の様に明るくなった。
サァァァァ・・・・




光が少女を包んだ。その瞬間・・・。もう、少女の姿はなかった。
幻獣が氷の中で、悲鳴をあげているだけで・・・。

















後書きです・・・。ひさ〜しぶりのFF6です!(web拍手お礼は別ですが・・・。)
今回はシナリオに沿った連載小説を書こう!!と努力しましたが・・・。
話むずかしすぎですね・・・。漢字も・・・。トホホ・・・。
きっと、FF6をプレイされていない方・・・何を言っているか不明なのでは?(汗)
仲間達が出てくると少し、やわらかい感じになりますが・・・。
質問があったら、メールやweb拍手で受け付けます。(もちろん!感想も)
BBSつけたいなぁ・・・。キリ番のリクエストも受付中です!



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