教会から出た後も、ミナからは不思議な感覚が離れないでいた。
暖かな場所にいたせいで、すっと体の背後から何かが抜けたように寒くなった。

「生きる意味か・・・。」
今は精一杯、手を伸ばしても届くことのない答え。
見つけられたらいいな・・・。
ミナが駆け込んだ時と、なんら変わりのない景色。
見渡す限りに広がるガラクタの山。
ライフルの弾丸が放たれた、生々しい傷跡を背にミナの足は参番街に向かっていた。



「ミナ!!!」
帰りは随分早く帰ることができた。
というより、もっと早く帰れたかもしれない。
大分周り道をしてきたように思える。
それでも、参番街ゲートに帰ってきた時は、見慣れた風景にほっとした。
息が詰まるような空気と、こんなゴミゴミした、
ビルとテントだらけの街でも 安心できるんだな・・・と少し怖くなったりもした。


「良かった!!無事か!?」
ミナは、今朝の老人の家へと向かった。
妹を迎えに来るためだった。
今日はなんだか「おかえり」と誰かに言ってほしかった。
いつもなら、そんなこと絶対に思わないのに・・・。
しかし、戸を開けた瞬間、必死の形相をした老人が視界にとびこんできたのだ。

「どうしたの?ダクトがそんな慌てるなんて。」
ミナはいつものように、ふっと笑みを浮かべた。
眠そうな妹の姿を見つけると、優しく頭を撫でてやった。
風で戸がひとりでに閉まる。
なんだかいつも以上にガランとしている店内。

何かあったんだ・・・。

「ミナ、今日どこへ行っていた?」
ダクトは静かに言った。
しかし、視線はミナにつきささるように襲いかかった。
「どこって・・・指令が出ていた壱番街だけど?それがどうかしたの?」
「お前が行ったのは六番街だ。立ち入り禁止区域に指定されている・・・。」
ダクトの口から出た言葉に、ミナは背中がこおりついた。
心臓の鼓動が聞こえる。
ダクトの言葉は続いた。
「きっと道に迷ったんだろう。たった今、連絡があった。」
呼吸が速くなる。胸が苦しい。
やめて・・・。
続きを聞きたくなかった。
「一人。神羅兵に撃たれて、亡くなったと・・・。」

ウソダ。

目の前が闇に閉ざされる。
戸棚にあった倒れた花瓶は今朝のままになっていた。
「グラン・・・・・・・。」
ミナは床に座りこんだ。
これ以上立っていることができなかった。
冷たい。 ミナの体が小刻みに震える。

「お前は無事だったんだな!?」

ワタシハ、ブジダッタ? ワタシノセイデ・・・?

「いやぁーーっっ!!」
喉から声を絞るようにしてミナは叫んだ。
せまい店内に反響する。
花瓶がカタカタゆれる。

「・・・ミナ?」
認めたくなかった。
自分にとって大切な人が、目の前から消えてしまうことが。

「どうして、私じゃなかったんだろう?」
「え?」
「マリン、帰ろう。」
弱々しく、小さな妹の手を引いて出ていこうとするミナ。
けれど、彼女の中で何かが変わってきている。
そんなことを思いながらダクトは言った。

「また、明日・・・な。」









シリアス・・・ですかね?
大体爆破されたのってどこだっけ??
すいません。適当で・・・。エアリスの教会の位置も微妙です(汗
あと3話程度で終結予定・・・。