そして、再び朝がやってくる―――――――――



「行かなきゃ。」
ミナは目が覚めると同時に、あの教会へ行こうと思った。
どうしても、エアリスに会いたい。
「マリン、行ってくるね。」
静かな寝息が聞こえる。
ミナはふとマリンと出会った日のことを思い出した。

「名前はマリンという。」

3年前、片腕が銃の大男に連れられ、マリンはやってきた。
小さな赤ん坊だった。
軽くウェーブがかかった、やわらかな髪は今でもかわらない。

「行ってきます・・・。」
外に出て、冷静に考えてみると、確かにおかしいことに気づいた。
六番街。
だから、ゲートは閉まっていたのだ。
だから、あんなに道が複雑だったのだ・・・。
ということは、地下道を使えば徒歩30分の道のりのはずだ。
ミナは少しうしろめたさを感じながらも、仕事場とは逆の方向へ走っていった。



「六番街!!」
どうして、あの時確認しなかったのだろう?

ミナは昨日、グランと別れた場所に立った。
死と直面した場所。
あの時、もし逆の方へ走っていたら、今ここにいなかったかもしれない。
グランが逃げた道を歩いてみようかと思ったが、ミナは足を止めた。
怖かった。
何が?と問われても答えることができない。
心は進もうとしていても 足が動かない。
「ごめんね・・・。」
しばらく歩いていくと教会が見えてきた。
ミナは一呼吸おいてから、戸に手をかけた。

「エアリス?」
まだ、来ていないようだ。
ミナは迷うことなく花畑へと進み、その場にしゃがみこんだ。
改めて辺りを見回す。高い天井。梁は太く、頑丈なつくりだ。
深い茶色の背景とエアリスの花が見事に調和している。
私は一体・・・・。
死ぬのは怖くないのに、どうして誰かがいなくなってしまうと、こんなに悲しいの?
ぽとり。
涙は音をたてずに、花びらの上へと落ちた。
あとから、絶えることなく溢れてくる。
古い教会の中、オルガンの近くでただ、一人きりで泣いた。

ふっと頭に何かやわらかいものを感じた。
エアリスだった。
見られたくなかったのに。自分の弱い姿を。
でも、今はどうしても涙を抑えることができなかったのだ。

「大丈夫。」
エアリスはそれだけ言うと、静かにミナを抱きしめた。









短くてすいません・・・。
分ける必要がないような気もするのですが・・・。
このシーンは自分的には気に入っているので、
どうしても別にしたくて・・・。
あと2話・・・・いや、もっとかかるな(汗